糖尿病内科

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糖尿病について

【診療日 : 平日午前 金曜日1日】

糖尿病というのはインシュリンの作用不足によってからだの栄養が十分いきわたらないためにおこる病気です。インシュリンは体を構成している細胞に栄養(糖分)を運ぶ働きがあります。インシュリンの作用不足によって細胞の栄養が減り、その結果さまざな合併症を起こします。特に全身の血管が障害されてしまうためにほとんど全身に合併症が及びます。合併症として多いものは心筋梗塞、脳卒中、壊死、神経障害、失明、腎障害・透析などです。糖尿病のこまるところはほとんど症状がないことです。症状が出た時には95%障害されているといわれています。

糖尿病の治療

糖尿病の治療の本質は食事療法と運動療法です。この治療法をうまく生活に取り込むことが糖尿病の予後(見通し)を左右します。糖尿病は薬で治すのではありません。薬物療法は食事療法、運動療法の上に成り立っています。

食事療法、運動療法が糖尿病治療の80%以上を占めるといわれています。このために多くの治療者(医師、栄養士など)があまりに力を入れすぎたり、また患者さんが一生懸命しすぎたりして、結果として食事療法、運動療法が続かなくなることが大変多いです。

食事も運動も続けることが大きな目標です。そういう意味ではまず続けられる食事療法、運動療法はなにかを考えましょう。

糖尿病治療のゴールがあるかどうか不明ですが、多くの医師が目指しているのは、平均余命位までなるべく高いクオリティで生活し続けられることだと思います。

糖尿病治療の4つの目標

  1. AICをで少なくとも6.5以下、できれば5.8以下
  2. 血圧、脂質を正常範囲に。
  3. 禁煙
  4. がんの予防

糖尿病の合併症は血圧と脂質によって左右されるので、まず第1に血圧と脂質を薬物療法を含めて早急に正常範囲にします。

A1Cのコントロールは永続的には難しですが、まず自分のできる生活習慣の是正から始めましょう。それでもだめならば薬物療法。主体はあくまで食事療法と運動療法です。食事と運動では食事療法が主体で運動療法で減量することは勧めません。さらに薬物療法はどの薬でも、たとえインスリンを使っても補助的です。

人間ドックなどでがん検診を怠らないようにしましょう。ただし予防できるがんと、予防しにくいがんがあります。予防が可能ながんは胃がん、大腸ガン、前立腺がん、子宮けいがんなど。予防しにくいがんは肺がん、胆のうがん、膵臓癌など。

糖尿病の食事療法

糖尿病治療の根本です。これなくして糖尿病治療は語れません。高血圧や脂質異常は薬剤によってかなりコントロールされます。一方で糖尿病は薬剤だけでは治療はできません。むしろ薬剤の役割は副で、主たる治療は食事療法です。しかしこの食事療法が大変難しい。しかも続けていかなければなりません。場合によっては好きな食べ物を制限されるという”苦痛”を一生続けなければならないと考えられています。その上、食べても食べなくても初期には症状がありませんか ら”すこしくらいいいだろう”みたいな安易な妥協が次第に大きくなって、食事療法が守れていない状況になります。

食事療法の基本は基本的には糖尿病食(表1-表6)を守ることです。しかし複雑すぎて継続ができません。医療従事者は糖尿病の食品交換表を理解し、運用しなければなりませんが、ごく普通の患者さんには理解することだけでも大変です。ましてや食事制限という「生きる望みを失うような」行為からは目をそむけたいのが心境です。

食事療法は継続できることが大きな目標なのです。食事療法のカロリーや糖尿病食を知っていても実践できなければ絵に描いた餅でおわってしまいます。食事も運動も人の手を借りて行う治療ではありません。食事はワイフが作ってくれるとか言って責任回避していてはいつまでたっても食事療法は身につきません。
そこで一切の理想的目標を捨てて、現実的に実行可能なことを考えましょう。できることから始めてみましょう。

食事療法の3原則

食事療法基本の三原則

これはあくまで目標です。少しこんな気持にもなっていただけたらという願いです。

食事を気持ちのはけ口にしない

まず第1に食事をどのようにたべているでしょう?皆様の食事はきっとおいしい食事に違いありません。しかし食事が多くの場合、1日のご褒美だったり、イライラのはけ口だったりしていませんか。満腹になることで気持ちの答え(ご褒美でも、いらいらでも)にしていませんか。
このパタンから脱却しましょう。最初はなかなかできないことですが、慣れてくればおいしいという部分とおなかいっぱいという部分が異なっていることに気が付きます。食事がおいしいということを十分にゆっくり味わいましょう。おなかいっぱいというのが実は気持ちの答えでしかないことが多いのです。きもちのはけ口として食事をとらないこと。

空腹になれよう!!

空腹こそが最高の調味料です。空腹を感じましょう。3度の食事をとらないこと(欠食)は良くないといわれていますが、45歳を過ぎてくると3度の食事では1度のカロリーが多すぎることもあります。また空腹にならないのに時間が来たからといって食べてしまったりします。これは良くありません。食習慣というのは慣れみたいなものもあって、昼ころ食事をしていると昼ころ食べたくなります。昼食をとるなとは言いませんが、昼に食事をとらなくなると食事しなくてもよくなってきたりします。
空腹は大変気持ちの良いものです。食べてしまうと気持ちの良さが吹っ飛んでしまうこともあります。食事をあまりとらない人は空腹に慣れているのとそのほうが気持ちがよいことを知っているからです。一般には満腹が気持ちがよいと思っているかもしれません。確かに満腹は気持ちがよいように思えます。しかし飢えていない限り空腹も気持ちの良いものです。実際に空腹になれると食後に後悔したりします。食べ過ぎた後悔ではなく、空腹を破ってしまった後悔です。いずれ食事にありつけるわけですから空腹の気持ちよさを満喫しましょう。でもこの気持ちになるのはかなり時間もかかるようです。

言い訳をしない

1日だけでも言い訳しない生活習慣をしてみましょう。
都合のよい言い訳をいつも考えているのが人間だ、という人がいます。確かにその通りのように思えます。宴会があったからとか、付き合いでとか、ご飯がおいしくてとか、夜が遅いのでとか・・・。社会生活をしている以上仕方のない制限はつきものにしても、いつも言い訳ばかりだと治療の意義が薄れてしまいますね。しかしこれはある意味では正常で、食べたいものをたべたりするは正常な行動パタンです。
このパタンをどう打ち破るのかはそれぞれのモチベーションにもよると思うのですが、大切なこととして「言い訳している自分」を見つめてほしいのです。
仕事では一切の妥協を許さないプロのビジネスマンでも食事についてはいつも言い訳ばかりというのはどうでしょうか。自分の食事パタンが仕事で妥協しないことのはけ口であるようなことは数多く見受けられるのです。いけないけないと思っていてもついつい食べてしまう・・・というようなことを毎回毎回お聞きするのは決して苦ではないのです(私も医者のはしくれですから)。でもそれを是正できるのは私ではなく、治療を必要とする患者さんご自身なのです。

そこで、今日1日だけ何かの目標を持ちましょう。言い訳しないで済む目標:間食しないとか、アルコール飲まないといか、ご飯は食べ過ぎないとか・・・。今日1日だけでいいのです。生活習慣に言い訳しない1日。それを目指しましょう。明日以降はわからないけれど、今日はそう決めたから、それを守ると。1日くらいは皆さんおとなですから生活習慣の一つくらい守れますね。さあ、何かを決めて”言い訳しない”1日を始めてみましょう。

食事療法の実際

炭水化物、脂質を極力減らす。米飯、パスタ、ラーメン、清涼飲料水、アルコール、揚げ物、お菓子。これらが炭水化物、脂質の代表です。計算上は1日250キロカロリー(米飯1杯分)を毎日減らせば1か月に1キログラム減る計算になります。しかしこの通りいきません。少しカロリーを減らしても体は恒常性の維持のために吸収を増やして体重を維持しようとします。そこでこれをブレークするほど食事を減らさないと減量はできないのです。

1口30回噛む

肥満の方は食事習慣として噛まないことが多いです。実は噛むことによって余計な食欲がなくなり、満腹になることが分かっています(大分医科大学坂田利家名誉教授のヒスタミン理論)。

1口30回噛む、という食習慣を身につけると、余計な食欲がなくなり、自然に体重が減少します。従いまして噛まないで食べられるような食品や噛まなくても食べられてしまうような食品をなるべく避ける方がよいのでしょう。アイスクリーム、清涼飲料水、歯ごたえのないお菓子、果物、麺類、パスタ、カレー、場合によってはご飯(お米のごはん)、おにぎりなど。これらの食品を摂取するときは必ず1口30回噛めるような工夫が必要です。

1口30回噛むという習慣を作るために日誌もあります。

”噛む”ことによって、摂食中枢が抑えられることが分かっています。食事の前に”噛むこと”をすると余計な食欲が低下するかもしれません。

是非1口30回噛む”という習慣を身につけて、過剰な食欲をなくしましょう。

運動療法について

適度な運動療法は糖尿病治療に貢献します。運動療法の基本は「続けること」です。続けられる運動を選ぶことというべきでしょうか。ジムに行くことが運動ではありません。運動は座っていても横臥しても可能です。どこでも運動はできます。着替えなくてもできます。適度なやる気とそれを続けていく気持ちです。人間はこれが難しいのです。シェークスピアも”志は最初だけは大きい”と言っています。”運動するぞ”と意気込んでも3日坊主であることは糖尿病の方でなくても人間だれしも経験することろです。

運動療法を続けるためのコツ

  • 体を動かすことを好きになりましょう。好きな運動をしましょう。
  • 自分の体力の3分の2でやめましょう。
  • 下手でも劣等生でもかまわないと思うようにしましょう。
  • 目標をあまり高く持たないようにしましょう。

治療薬について

糖尿病治療のために薬剤が数多くありますが、食事と運動なくして糖尿病の治療はありません。この点は他の生活習慣病と大きく治療の様相が違う点です。高血圧や脂質異常は薬の発達によって服薬だけでもかなり治療効果が期待できます。しかし、糖尿病はそうはいかないのです。
ぜひとも良好な食事療法、運動療法を身につけて、糖尿病に打ち勝っていきましょう。

治療の指標

適正な体重を維持する。この一言に尽きます。では適正な体重とはどのくらいか。これははっきりしていませんが、経験的にはBMI22程度であると考えられています。160cmの身長であれば56kg、170cmの身長であれば64kgくらいです。痩せすぎも太りすぎもあまりよいことではないと考えられています。