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2009年3月4日(水)

心血管系イベント(心筋梗塞や脳卒中)のリスクはみな平等?

 われわれが将来おこりうる死因としてはがん、心血管系イベント、そして事故であろう。これらで90%以上であろうと思われる。
 この中で生活習慣病に密接に関係しているのは心血管イベントすなわち、心筋梗塞や脳卒中です。
 この心血管イベントのリスクは結構たくさんあって、
 男性、年齢、血圧、脂質(LDLが高い、HDLが低い、トリグリセリド:中性脂肪がたかい)、糖代謝(糖尿病、耐糖能異常など)、体重(内臓脂肪?)、運動不足、食習慣、尿酸、慢性腎臓病などなど。
 これらのリスクを低減させるために薬剤をつかうのですが、薬剤を使った結果、時に他のリスクを引き起こす。そのため治療効果がよいのに使いにくい薬剤もあります。
 典型的なのは利尿薬。特に降圧薬としての利尿薬;サイアザイド系利尿薬です。
 サイアザイド系利尿薬は今日までの降圧治療の中で、ほどんど目の敵にされてきました。現在の降圧薬は種々存在しますが、本邦ではこのサイアザイド系利尿薬は、新薬の対象薬としてさんざんこきおろされてきました。サイアザイドは効かない薬、副作用の多い薬として、他の薬剤の処方を増やすために存在してきたようなものでした。そのために本邦ではサイアザイドをほとんど使ったことのない循環器専門の医師もいるくらいです。
 ところが、アメリカのALLHATという研究から利尿薬は今までよいといわれてきたカルシウム拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬(本邦ではアンジオテンシン受容体拮抗薬のほうが使われている。同等性はあると考えられているが)などの先進的薬剤とほぼ同等の効果;すなわち心血管系イベントの抑制につながると報告されました。
 
 最近になって利用薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬の合剤がでてきました。プレミネントです。もうすぐコデュオとかエカードなどもでてきます。すこしおくれてミコンビというのもでます。どれも利尿薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬との合剤です。
 ここ数年家庭血圧の重要性も指摘されています。その結果、早朝血圧がなかなかコントロールできない例が多く出てきました。そこでサイアザイド系利尿薬をつかったらいっぺんによくなったなどといわれ、サイアザイドの使用がにわかに脚光を浴びるようになってきました。。
 このサイアザイド系利尿薬の欠点は
1)尿酸の上昇
2)糖代謝を悪化させる
3)脂質代謝を悪化させる
4)光線過敏症がある。
 特に尿酸値の上昇は未解決の問題です。サイアザイドで尿酸の上昇しやすい人とそうでない人、男性と女性、とくに女性では閉経前と閉経後、腎機能の程度などなど、サイアザイド使用による尿酸値の反応性は異なります。その上尿酸上昇と痛風発作はパラレルではありません。
尿酸がこまるのは尿酸値が単に上昇することではないのです。
 問題は
1)サイアザイドで尿酸値が治療域まで上昇するか。
2)(尿酸値とは無関係に)痛風発作をおこすが、痛風発作をどのように心血管系のリスクと考えるか。ガイドラインにはリスクは高尿酸血症であり、痛風ではない。
3)尿酸値上昇はどの程度のリスクと考えるか。すなわちたとえばサイアザイドを使って血圧を下げることによるベネフィットと尿酸値が上昇することによるデメリットをどのように考えるか。
 
 3)につてい興味深いデータはSHEP-expansionというスタディーです。糖尿病患者に利尿薬(クロルタリドン)をつかったところ、耐糖能は若干障害されたが、それよりも利尿薬による心血管系イベントが抑制されています。
 これらの状況から考えて、利尿薬の効果と尿酸値の上昇についてのスタディが必要です。利尿薬によって尿酸値が7.0以上になる症例や、最初から7.0以上の症例に対して、利尿薬のベネフィットがあるのかどうかスタディするべきでしょう。


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